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あ か さ た な は ま や〜わ
児の手柏 常緑高木
(ヒノキ科) 花期は春
◎ 奈良山の児手柏の両面にかにもかくにもねじけ人のとも
(万葉集巻十六 3836番)
◎ いはれ野の萩が絶間のひまひまにこの手がしはの花咲きにけり
(岩波文庫山家集58P秋歌・新潮970番・夫木抄)
和歌文学大系21によると万葉集所収歌にある「児の手柏」は(おおどち「オトコエシ=男郎花」の古名)の異名とのことです。
ネットや辞書で調べてみましたが、児の手柏がオトコエシであるという資料には行き当たりませんでした。
岩波古語辞典では「この手がしは」は、トチノキともあります。(おおどち)とは無論、トチノキのことではないでしょう。
ここでは「この手がしは」の花が咲いているのは萩と同時期ということであり、春に開花する児の手柏とは異なります。
児の手柏の歌はもう一首ありますが、西行歌にある児の手柏は現在言われている児の手柏と同一ではなくて、
別種の植物であると解釈できます。しかしそれがどの植物なのか実体は不明というしかありません。
(オトコエシ)
オミナエシ科の多年草。山地に広く自生しオミナエシに似るが、花は白く、茎、葉に毛が多い。
花期は夏から秋。おとこめし。
(岩波書店 広辞苑第二版から抜粋)
(コノテガシワ)
ヒノキ科の常緑潅木、または小喬木。中国・朝鮮に自生し、古くから庭木とする。高さ2〜6メートル。
葉はヒノキに似て鱗片状で表裏の別なく枝が直立、扁平で掌を立てたようである。花は春開き単性で雌雄同株。
種鱗の先端が外方に巻いた球果を結ぶ。種子を滋養強壮剤とする。
(岩波書店 広辞苑第二版から抜粋)
ヒノキ科の常緑小喬木。小枝全体が平たいてのひら状になる。葉はうろこ状で、表裏の区別がないところから
二心あるもののたとえとされた。一説、コナラ・カシワの若葉。またトチノキともいう。
(岩波古語辞典から抜粋)
この写真にあるものは「児の手柏」の園芸種である「センジュ=千手」という植物です。